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国土交通省によると、日本の舗装道路の普及率は2020年で約82.5%(うち一般国道は99.5%)だそうです。アメリカやイギリス、フランスなどの先進国の舗装率は100%とされていますので、まだ日本は遅れをとっている状態です。しかし、1970年時点では一般道路の舗装率は約15%に過ぎませんでした。この50年間で急速に舗装工事が進んだことがうかがえます。
舗装道路といえば、一般的にアスファルトやコンクリートで覆われた道路を思い浮かべますが、その下(中部)はどうなっているのでしょうか? 舗装道路の役割や構造について探ります。
単に道路を覆うだけではない!舗装の役割とは?
舗装とは、路面の耐久性を増すために、道路の表面を他の材料で固めることです。「舗」の正字は「鋪」で、もともと「並べる」「敷く」「張りつける」といった意味があります。今から約30万年前のスペインの遺跡で、横一列に並んだ4本の象の大腿部の骨が見つかりました。荷物を「そり」などで運ぶとき、荷重で「そり」が地面に沈み込まないように、地面と「そり」の間に骨を並べていたと推測され、これが舗装の原点ではないかといわれています。つまり、骨を「並べて」地面を「装う」ことで、歩きやすくしたり、物を運びやすくしたりする機能を道路に持たせたのです。
その根本的な役割は現在も変わりません。舗装をしていない砂利道では、風が吹けば砂塵が舞い、雨が降るとぬかるむなどして、人や車が通りにくくなるだけでなく、事故につながる危険もあります。また、車がブレーキをかけた時に砂利が摩擦を小さくするベアリングの役目をして、ブレーキがききにくくなることも。路面を舗装することで、これらを防止し、歩行時や車両走行時の快適性や安全性を向上させることができるのです。

舗装は大きく分けて2種類ある
舗装の種類は、主に表面に使用する材料によって区別し、加熱アスファルト混合物を主原料にした「アスファルト舗装」と、コンクリートを主原料にした「コンクリート舗装」に大別されます。日本では、戦後しばらくの間はコンクリート舗装が主流でしたが、昭和35年からはアスファルト舗装の比率が高くなり、現在は90%以上がアスファルト舗装でできています。戦後、石油工業が発展し、アスファルトの生産が加速したこと、コンクリート舗装は養生時間が長いため工期が伸びること、補修が困難であることなどが、その理由にあげられます。しかし近年では、コンクリート舗装の耐久性の高さや、車両走行抵抗の低さ、夏場の表面温度上昇率の低さなどの利点が見直され、施工量が増加しつつあります。

舗装の下はどうなっている?
アスファルト舗装でもコンクリート舗装でも、私たちがその断面を見ることは滅多にありません。舗装の下はどうなっているのでしょうか。すぐ下に舗装前の砂利道があるように思うかもしれませんが、実は、舗装の下は何層にも分かれています。アスファルト舗装の構造は、耐久性・排水性・地盤の安定性などを考慮して設計されています。複数の層によって荷重を分散し、地盤への負担を減らす役割を果たしています。また、水の侵入を防ぎ、表面にたまった雨水を効率よく排水する設計でもあります。構造が不十分な場合、アスファルトの下に水が溜まり、舗装が浮いたり割れたりして、道路寿命が短くなるおそれがあります。このような多層構造の仕組みを詳しく理解することで、アスファルト舗装の重要な役割が明らかになってきます。

アスファルト舗装の構造
アスファルト舗装の多層構造を順に解説すると、道路の基本構造は上から、「表層」「基層」「路盤(上層路盤・下層路盤)」「路床」の4層に分かれています。さらに、その最下層に道路全体を支える地盤である「路体(土工部)」があります。このような構造にすることで、車両による負荷や衝撃を地面に広く分散させ、道路の長期的な耐久性を高めます。
表層
アスファルト舗装の最上部にある層です。表層の役割は荷重を分散し、下部に伝える役割があります。また、安心で快適な走行ができるよう、適当なすべり抵抗性や平坦性など、交通において安全な路面の機能を維持すべく設計されます。
基層
表層の直下に位置し、車両荷重を分散させる機能を果たす層です。粗めの骨材(砕石・砂など)を多く配合したアスファルト混合物を用いることで、高い強度を確保しています。
基層は上層路盤の直上に位置し、路盤表面の凹凸を平滑にするとともに、表層から伝わる荷重を均等に路盤へ伝える働きをします。
路盤
基層より下に位置し、道路舗装の土台として全体を支持する層です。上部の表層と基層に対して安定した支持面を提供し、交通荷重を均等に分散しながら路床へ伝える機能を果たします。通常、上層路盤と下層路盤の2層で構成されます。
上層路盤には、砕石といった高強度で良質な材料を使用し、交通荷重を広く分散させるとともに、排水機能も補完します。
一方、下層路盤に用いられるのは、強度がやや劣るものの、現場近くで入手できる経済的な材料が使用されることが一般的です。
路床
舗装構造を支える地盤のうち、舗装底面からおよそ1m下までの範囲を指します。路床の下部を路体といい、主に土でできた最下層の部分を指します。構造上で交通荷重の分散を高める場合は、原地盤の改良が必要な場合もあります。
改良処理を行った層を「構築路床」、さらにその下部の元地盤を「路体」と称します。
アスファルト舗装には、骨材(砂・砕石など)とアスファルトバインダーを高温で混ぜ合わせた材料を、施工現場で敷き詰めて締め固める工法です。仕上がった路面はなめらかで、走行音が低減されるため、快適な走行性を提供します。また、アスファルトは熱を吸収しやすい性質を持つため、冬季には路面の凍結を防ぎやすくなる利点もあります。
さらに、道路舗装の機能を長期間維持するためには、交通荷重や気象条件に対する耐久性も考えて設計することが欠かせません。下層は荷重に耐えられるように、砕石で固めて作り、上層は、厳しい規定に基づいた材料を使用し、強度や摩耗性などの性能を確保します。これらを計算し築造することが、アスファルト舗装の基本です。
コンクリート舗装の場合も、コンクリートの下には、アスファルト混合物による中間層と路盤があります。このように何層にも分けることで、一体となって舗装上を走行する車両を支える「たわみ性」を有するのです。近年は、路盤の上に不透水層を設けて、雨水が下層に浸透するのを防ぎ、排水溝までスムーズに流す仕組みを備えた舗装など、高精度の舗装も登場しています。
道路の維持管理にトプコンの製品が活躍
道路の維持管理においては、新設時の施工だけでなく、完成後の補修や修繕も重要な役割を担っています。
アスファルト舗装をを新しく施工する場合には、下層から順番に施工していきます。まず最下層となる路床の施工をブルドーザー等の重機で均し、転圧機でしっかりと締め固めます。この工程が不十分だと、将来的に大きな損傷につながるおそれがあるため、非常に重要です。その後、下層路盤、上層路盤の順に下層路盤、上層路盤の順に粒度の違う砕石を敷き均し 、それぞれを転圧します。最終段階の表層・基層の施工で、アスファルト混合物を敷き均し、締め固めて完成します。
一方、完成した道路も長年の使用によって表面にわだちができたり、ひび割れが生じたりします こうした劣化への対策として用いられるのが「切削オーバーレイ工法」です。この工法では、傷んだ道路の表面を一定の深さまで削り取り、その上に新しい舗装を重ねることで、道路を使いやすい状態に回復させます。
トプコンの3D-MC路面切削システム『RD-MC』は、設計データと現況路面との差分から算出した切削厚に基づき、切削ドラムを自動制御するマシンコントロールシステムです。これにより、マーキングを行わなくても設計通りの理想的な切削厚を維持でき、安定した施工精度と生産性の向上を図ることができます。

<参考文献>
(社)日本道路協会「舗装設計施工指針(平成18年版)」(電子書籍)




